導光体「シリコーンライトガイド」

Silicone Light Guides -

 

製品を通じて、人々の安全で快適な暮らしを支える

 

 

「ライトガイド」とは、LEDなどから出力される光を狙ったところに通す導光体のことで、カメラやディスプレイ、自動車のヘッドライトなどに使用されます。

信越ポリマーが2019年から手掛ける「シリコーンライトガイド」の特徴や開発秘話、製品を通じた社会課題解決に向けた取り組みの展望をご紹介します。

 

 

光の透過性が高い新開発シリコーンゴム、開発のはじまり

信越ポリマーの「シリコーンライトガイド」は、欧州の道路事情に合わせた需要の高まりを受けて開発された、高透明のシリコーンゴム製品です。ドイツのアウトバーンが代表するように、欧州の高速道路は高速域で走行する場合が多く、しかも全体的に暗いので、安全走行を支援するツールとして先進的なヘッドランプの普及が進んでいます。

 

車のヘッドライトは常時ハイビームが望まれるものの、ハイビームにすると対向車や歩行者にとっては非常に眩しくなるため、光を分割して、照らす部分と消す部分を調整できるマトリックスヘッドライトが開発されました。しかし、それには80を超える多量のLEDライトが必要になることもあり、光源付近が高温になってしまうため、耐熱性の高い製品が求められます。

 

このようなニーズに対して、当社では従来よりも光の透過性が高く耐熱性にも優れる新たなシリコーンゴムの成形技術を開発しました。強い光を必要とされ、熱を発生させやすい場合にご採用いただける製品です。

 

 

お客様の信頼に応えるために、製販技一丸となって挑む

「シリコーンライトガイド」の開発は、金型の難しさや材料の扱いにくさもあり、難易度の高いものでした。それまで光学部品を扱ったことがない開発担当部門が手探りでの開発スタートとなりましたが、知見のある金型業者や設備メーカーと連携して、課題を一つひとつ解決しながら進めていきました。

 

そして2022年、Shin-Etsu Polymer Hungary Kft.(以下、ハンガリー社)にて、最初の生産ラインが導入されました。ハンガリー社では、その後も徐々に生産体制を充実させ、大型プロジェクトに向けてさらなる設備拡充を進めています。

 

日本でこの製品のために新規開発した金型、成形・検査設備などをハンガリー社へ移管するなど、多くの部門・人がかかわるプロジェクトで、めまぐるしいスピードで物事が進みました。大規模なプロジェクトならではの大変な面も多々ありましたが、社内外とのコミュニケーションの重要性を理解し、グローバルチームとして製販技が一丸となって進めることで、お客様からの信頼につなげられたと思います。

 

 

業界をリードする成形技術世界中

「シリコーンライトガイド」は熱に強く、光源に近いところに設置できるため、光のロスが少なく省エネにも寄与します。強い光が必要なものは多岐にわたりますから、民生用途でも活用の幅を広げていきたいと考えています。照明機器はその一つ。家庭だけでなく、店内・街頭・看板照明など、幅広く展開していきたいと思っています。

 

用途が変わるとお客様が求める事柄も変わり、違うつくり方や考え方が必要になるので、簡単ではありませんが、これからもさまざまな用途に展開できるような開発を推し進めていきます。もちろん、現在多くを占める車載用途にしても、安全運転システムは著しい進化を遂げていますから、そこでも貢献していけるよう努めていきます。ヘッドアップディスプレイはその代表例です。車載カメラの重要性も増してきましたし、ヘッドランプ自体もさらに進化していくことが予想されます。車内で明るさが求められるパーツはほかにもまだありますから、可能性は広げていけると思います。

 

シリコーンゴムは汎用性があり、当社はその成形技術で業界をリードしています。強みを活かしてチャレンジを続けていきます。

 

 

サステナブル社会に役立つ製品を、これからも

自動運転や環境配慮車は、今後ますます普及していくでしょう。民生用途も含め、世の中の技術革新に当社の製品が少しでも貢献できるよう、アンテナを張り巡らせてニーズを的確に捉えながら技術を磨いていきます。

 

製品はもちろんですが、プロジェクト全体を通じて世の中のサステナビリティに貢献していくという視点も重要だと考えています。「シリコーンライトガイド」の生産を行うハンガリー社でも、ソーラーパネルを導入したり廃棄物の削減に取り組んだりと、できることを少しずつ進めています。生産設備についても、エネルギー消費の少ないものを選定するなど、持続可能な社会の実現に貢献するために、信越ポリマーグループではこれからもサステナビリティの取り組みを全社で推進していきます。