生分解性「ランナークリップ」

- RUNNER CLIP -

 

人手不足の農業に注目の生分解性製品

イチゴやメロンなど、地表を這うランナー(茎)をもつ作物の栽培に使われる「生分解性ランナークリップ」は、生分解性プラスチックの特性を活かして農業の現場で活躍しています。作物を株分けする際に使われる農業用の資材道具で、ランナークリップを土に挿してランナーを固定します。

 

20年以上のロングラン製品

ランナークリップは、当社のロングラン製品の一つで、20年以上前から販売しています。

現在の形にたどり着くまでには、開発に携わったメンバーが足しげく農家の皆さんのもとを回り、様々な声を汲み取りながらの試行錯誤がありました。実際の栽培の現場でテストをして改良を繰り返し、製品化が実現しました。

そして、上市してからは、生産性や品質の改良を行い、特許も取得しました。おかげさまで、これまで品質に関する問題もなく、生産を続けることができています。

 

日本の農家における課題解決

当社のランナークリップは、先端を斜めに切った外径2.3㎜のストロー状の形をしていて、使用時にU字に曲げ、土に挿して使います。
最大の特徴は、生分解性プラスチック(PBS)でできていることです。


使用後は、紫外線や加水分解によって徐々にもろくなり、1~2年でボロボロになった後に分解され、土にすき込めば最終的には土中の微生物により、水と二酸化炭素になります。このため、廃棄物が発生することなく、土壌に影響を及ぼしません。
農家の方々にとっては、何百本もあるクリップを一つ一つ回収することが不要で、日本の農家が抱える高齢化や人手不足問題にも貢献できる製品です。

当社の技術力を活かして

 

中空のストロー状にして曲げやすさと強度を両立したことや、先端を斜めに切って土に挿しやすくしたことなど、使い勝手の良さにはこだわっています。ランナーに合わせて簡単に曲げて形を調整できるため、ランナーに傷つけることなく、デリケートな作物の栽培にも適しています。
当社の持つ高度な成形技術と、原料の配合バランスが、硬すぎず、柔らかすぎずに作業者にストレスや疲労を与えない“ちょうどよさ”を実現しているのです。
 

いま注目素材を知っていただくために

ランナークリップは、九州北部や栃木県などのイチゴの産地を中心に販売されています。
分解されないプラスチック製のランナーをお使いの農家の方もまだまだ多いため、もっと広く生分解性ランナークリップの使いやすさを実感いただきたいと思います。


生分解性プラスチックという素材そのものを農家の皆さんにもっとご理解いただくことが大切だと思っています。当製品は性質上、1~2年でもろくなって折れやすくなるため、1.5年以内をめどに使用いただくことをお願いしています。この点だけ見ると一般的なプラスチック製品を選ぶ方もいるかもしれませんが、最終的にゴミにならず、一つ一つ回収する時間・負担も省くことができます。


環境課題解決に寄与する素材であること、農家の皆さんの負担を減らすということに加え、環境に優しいからこそ自然に劣化してしまうことを理解いただき、注目の素材として十分な周知を図っていきたいと思います。