社会とともに成長し続ける企業を目指し、
サステナビリティ経営を推し進めることで
持続可能な社会の実現に貢献します

 

 

さらなる企業価値向上へ、経営方針を受け継ぐ

 

 2023年6月23日より、代表取締役社長に就任しました。新たな中期経営計画「Shin-Etsu Polymer    Global & Growth 2027(SEP G&G 2027)」のスタートとともに、前社長の小野会長より大役を引き継ぐこととなり身が引き締まる思いです。私は直近10年間、営業本部長としてお客様の望む品質を実現する製品開発力の強化や安定供給を可能とするグローバルな生産体制の整備に注力し、事業成長を推し進めてきました。これからもお客様との信頼関係を重視するとともに、当社の基盤技術を活かした高付加価値製品の提供により、企業価値の向上を目指してまいります。


 当社は、1960年に信越化学工業グループの樹脂加工メーカーとして発足以来、シリコーンなど各種樹脂の「材料・配合」「設計」「加工プロセス」「評価・解析」を基盤とする技術の応用展開に努めてきました。現在は、お客様の多様なニーズに応え、シリコーンゴムや各種プラスチックなどの素材配合技術や各種加工技術を組み合わせ、高付加価値製品を提供しています。また、企業理念に基づき、安全、公正を最優先する経営に徹し、社会とともに成長し続ける企業を目指し、事業活動を通じた省エネルギーや省資源、環境負荷低減への取り組み、SDGsなど世界共通の課題を積極的に自らの目標に取り入れるなど、より良い製品開発を追求してまいります。    
 

 さて、2022年度は、原材料価格の高騰やウクライナ情勢による国際物流の混乱などが相次ぎ、一部事業でマイナス要素となりましたが、大きく落ち込むことはなく、自動車関連事業の需要増加や半導体事業の高水準な需要が続いたことで、全体として好調に推移しました。一方、半導体関連容器で業界シェアNo.1を誇る当社は、常にマーケット要求に対応できる生産能力の確保が重要です。足元の状況に関わらず、中長期的な視点で設備の増強を進め、マーケットからの安心感の向上を目指すとともに、グローバルに事業を展開する樹脂加工メーカーとして、安定供給の役割を果たしてまいります。

 

サステナビリティ経営を後押しする経営基盤の強化

 

 当社グループは2023年5月に、2023年度から5カ年の中期経営計画「SEP G&G 2027」を発表しました。社会環境が急速に変化していく中で、当社グループが事業を継続していくためには、私たちの拠りどころであるサステナビリティ経営を後押しする強靭な経営基盤の構築が欠かせません。今回の中期経営計画策定にあたっては、ESGそれぞれの領域で重要課題と目標を設定し、私たちが取り組むべきESG課題をより明確にしました。気候変動問題への対応や障がい者法定雇用率未達など、当社が抱えるESG課題へ真摯に向き合い、早急な改善を図るとともに、ステークホルダーのみなさまへの適時・的確な情報開示に努めてまいります。

 

 特に、CO2排出量の削減は大きな課題の一つであると認識しています。中期経営計画において、私たちは2050年カーボンニュートラルを目標に掲げました。再生可能エネルギーへの転換を主軸に、太陽光発電設備や蓄電設備の導入も視野に入れ、カーボンニュートラル実現に向けた施策の検討を進めています。

 

 加えて、今後も社会的責任を果たしていくため、サステナビリティマネジメント体制の強化にも取り組みます。当社グループでは、サステナビリティ委員会を設置し、CO2排出量削減目標、気候変動対応に関する審議を行っています。また、コンプライアンス委員会では、子会社を含むグループ全体の総合的なリスク管理とコンプライアンス体制の整備・運営を行っています。サステナビリティ経営のさらなる強化に向け、両委員会の活動をより活発化させるとともに、株主・投資家のみなさまとの建設的な対話を引き続き実施してまいります。

 

 このほか、当社は2023年3月、事業を行う上での社員や取引先など、さまざまなステークホルダーのみなさまとの関係構築の方針として、「マルチステークホルダー方針」を策定しました。引き続き、開かれた会社として、マルチステークホルダーとの適切な協働に取り組んでまいります。

 

変革を推し進める人財育成

 

 今後も、当社グループが持続的な企業成長を実現するためには、創造と変革を推し進める人財の確保と育成が欠かせません。このため、当社グループは、社員の育成と成長を最重要課題の一つと考え、高い専門性や能力を発揮できる人財の育成に注力しています。社員一人ひとりの「学びたい」「もっと活躍したい」「キャリアアップしたい」という意識の醸成や、より高い目標への挑戦を後押しできるような職場環境の整備を進めています。具体的には、OJTを重視した現場での経験学習サイクルの確立により、絶えず学び続けられる環境づくりや、社員一人ひとりがチャレンジしやすい人事制度の構築に着手しています。また、性別や年齢などに関わ らず活躍できる環境整備のため、定年後再雇用制度の充実、女性社員の活躍推進、育児・介護などライフステージにおいて働きやすい制度の拡充なども積極的に行っています。多様な経験と価値観をもつ人財を受け入れ、組織の活性化や事業の発展を図り、グループ一丸となって、さらなる企業成長を目指してまいります。    
 

 当社が世に送り出す製品は、みなさまの目に直接触れることは多くありませんが、さまざまな形で、現在の社会を支え、さらには将来の社会を築くための要請に応えています。絶えず変化する市場環境や社会環境において、当社は、サステナビリティ経営を推進することで企業基盤を強化し、事業を通じた社会課題の解決を目指すグローバル企業としての責務を果たし、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。